旧制八尾中学・府立八尾高等学校同窓会東京支部

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スペイン巡礼(カミノ・デ・サンティアゴ)旅日記@

高14期 中川昭治氏


プロフィール

1967年早稲田大学卒
1967-1972年ブラジルBanco America do Sul S/A(南米銀行)に勤務後、世界67カ国放浪
1972年帰国、商社勤務でブラジル、中国、マレーシアなどに延べ12年駐在。2001年退社

趣味三昧の生活を得て

八尾高を昭和37年に卒業してから約40数年、60半ばまで若い頃の放浪癖を封印して、生活のため枠からはみ出ないように働き、ここに来てまた放浪の旅を実行しても許される環境となり、何ものにも捉われず、風の如くフワフワと知らない土地を訪ねてみたい・・・
気に入れば何日もそこに滞在し、飽きたら別のところに移動して行く。
こんな生活がしたくなったのです。
まず手始めに治安の良いヨーロッパに行く事にしました。

カミノ・デ・サンティアゴとは 

キリスト12使徒の一人聖ヤコブのお墓があるというスペインのサンティアゴまでの巡礼路で、いろんなルートがありますが、最もポピュラーなフランスルートの800kmを33日間で歩きました。
数年前からフランス映画”サン・ジャックへの道”や日経新聞の旅行文、2−3の日本人の書いた本等で知っていて、是非とも歩きたいと情報だけを集めていました。

フランスのスペインとの国境近くの町(サンジャンピエドポー)を20年5月14日に出発し、ピレネー山脈を越えてスペイン側に入り、西に向かってサンティアゴまで毎日20km〜30km歩き、6月15日に到着しました。

ルートには巡礼のシンボル「帆立貝」の殻が吊るされており、日本のアルプス縦走を考えるとラクな、楽しいトレッキングの毎日で、静かないい旅でした。この巡礼路の良さを少しでも知って頂きたいと、旅の日記を何回かに分けてお送りします。


*写真はスペイン政府観光局の提供です*

第一回パリ経由、ロンセスバイェスまで

(5月13日)成田〜パリ、午前4時シャルルドゴール空港着。地下鉄でモンパルナス駅に移動。
まだ真っ暗なパリの街を15キロのリュックを背負って15分歩いてホテルにチェックイン。
この日はパリ散歩。
フランス人も英語で親切に道を教えてくれました。

(5月14日)50センチもあるフランスパンのサンドイッチと水を買って、10時発の新幹線に。
電車が遅れて、乗換えのローカル線に遅れそうになるが、何とか午後4時過ぎサンジャンピエドポー到着。
巡礼者らしき30人ほどがぞろぞろと街中に移動。 地図など見ずに後について行くと巡礼事務所があり、大勢の巡礼者の列に並んで巡礼手帳を受け取る。

(5月15日)午前6時、ホテルの玄関は閉まっている。自分でドァを開け部屋の鍵を外の鉢植えの中に置き、
薄暗い中を緊張気味で出発。昨日会った巡礼連中はまだ誰も見当たらない。
今日はナポレオンも越えたというピレネー越え最初の難所、レポエデル峠、イバニエタ峠を越えてスペイン側に入る予定だ。
森を抜け牛の放牧場を通りアスファルト道路を歩き 峠を目指す。
巡礼者救助の自動車が一度通過しただけで一般の車は全く通らない。

しばらく歩くと霧のような雨が降り、雨があがると虹が現れる。まるでおとぎの国にいるようだ。歩いて峠を越える人が30人ほど。一人か数人のグループがそれぞれバラバラ歩いて行く。追い越す時や追い越される時は“オラー”と挨拶する。
フランス人、ドイツ人が最も多く、その他のヨーロッパ人で9割ほど占め、後がカナダ、アメリカ、ブラジル、韓国、日本人。今日会った日本人は2人。
一人は60歳過ぎの男性で、左足が少し不自由でストック2本を突きながら登っていた。もう一人はキリスト教の女性の牧師さんで50代だと思うが、山歩きが趣味で日本100名山やキリマンジャロにも登ったとゆう元気な人であった。

午後2時過ぎ峠を越え、スペイン側の本日の目的地ロンセスバイェスに着き、初めての巡礼宿にチェックインする。
修道院であったという石造りの200人も泊まれるような大きな巡礼宿である。
天井が高く、体育館か倉庫のようで、2段ベッドが2つずつ置いてあり、それが50個ほど4列に並んでいるのが壮観である。
早い者順で好きなベッドを占領する。部屋の中ごろで壁側の列のベッドの下段を確保した。
上段は二人づれの韓国娘達であった。部屋はもちろん、地下のトイレもシャワーも男女共通である。

巡礼宿には最低限の決まりがある。泊まるには巡礼手帳が必要で、途中立ち寄った教会とかバールで1日最低2ケ所のスタンプをもらっておくこと。巡礼宿は歩き巡礼者が最優先で、自転車の巡礼者は18時以降でないとチェックインできない。車、バスの旅行者は基本的には泊まれない。事前の予約はできない。宿泊は1泊だけで連泊はできない。食事はなし、外のレストランかバールで食べるか、巡礼宿で自炊をする。自炊用の設備、調味料、皿まで整っている。

宿泊代はお布施として好きなだけ寄附箱にいれるが、金の無い人は入れないのでタダでとまれる。
普通1ユーロ程度から5ユーロを入れる。料金を規定している巡礼宿も多いが、3ユーロから高いところで8ユーロ、平均5ユーロ程度か。
シーツは毎日取り替えられるが、紙のシーツを手渡されるところもある。
備え付けの毛布は汚れているものが多く、大抵は持参の寝袋をベッドに敷いて寝ているようだ。(続く)

〜 スペイン巡礼(カミノ・デ・サンティアゴ)旅日記 Aへ続く〜

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